「パワハラをしないこと」≠「部下を甘やかすこと」

人間関係を壊さないようにと慎重になりすぎて、部下を甘やかしてしまってはいませんか?
ハラスメントはあってはなりませんが、それは部下を甘やかすことではありません。
ですが、多くの方が誤解をしているように思います。

先日、パワハラ研修において、
「ハラスメントしてはダメと言われるので、やさしい指導をしているため部下が育ちません」
というご意見をいただきました。

「パワハラ=厳しい指導」
「パワハラではない=やさしい指導」
とその方は捉えられているのだと思いますが、

「パワハラをしないこと」=「やさしい指導、甘やかす指導をすること」ではありません。
そこは、本当に誤解して欲しくないところです。

厚生労働省のウェブサイトにも、

「客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません」

と、パワハラの定義の下に明記されています。

ではどう指導したらよいのでしょうか。

具体的な指導の方法

例えば、思うような成果をあげられていない部下がいたとします。

①出来ていない事実を進捗確認などで一緒にする

②会社(又は部署)の求めている成果の質を確認する

③そのギャップを部下自身に認識してもらう

④「どうしたら達成できるかもう一度考えてみようか」等の言葉をかけ、改善の計画を一緒に作る、又は部下が作れるよう支援をする

⑤これならできそうだと部下自身が感じ、実際に改善計画の一つに取り組むという行動を部下が起こす

という具合です。

この作業において、部下は、成果が出ていない自分と向き合う必要があり、嫌な気持ちになることもあります。
ですが、”部下が嫌な気持ちになること”=ハラスメントではないということをしっかり押さえて欲しいのです。

パワハラになる指導

一方で、同じように成果があげられていない部下に対し、
「何やってるんだ、全然成果が出てないじゃないか!
お前は何をやらせても駄目だな、これじゃ給料泥棒だ」

などと罵倒することがあるとしたら、これはハラスメントになります。

または、
「あいつは出来ないヤツだ」などと他の社員に陰で話をしたり、皆の前で見せしめのような言い方をしたり、無視をしたり、仲間外れにしたりすれば、
それもハラスメントとされる可能性があります。

この二つは、上司と部下の人間関係、信頼関係も破壊することになり、また、職場環境も決してよいものではないでしょう。

まとめ

部下の成長を促すこと、仕事の失敗を改善することは、組織にとって必要なことです。
部下が嫌な気持ちになることを恐れず、足りないことに気付かせてあげること、その改善方法を一緒に考えることはとても大切です。

マネージャーとしての部下へのかかわり方を学んでいただき、部下が生き生きと成長していく職場作りをしていただきたいと思います。

このコラムは、2024年12月20日配信のメルマガに掲載されたものです。

著者:SRCパートナーコンサルタント 谷口 陽子

略歴

2015年

愛知県尾張旭市で社労士オフィスソレイユ(旧社労士事務所オフィスたにぐち)を開業。

保有資格
  • 特定社会保険労務士
  • 国家資格キャリアコンサルタント
  • ハラスメント防止コンサルタント
  • アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントファシリテーター

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