第20回正準会員勉強会「『集団浅慮』から読み解く組織の病理」

1.概要
| テーマ | 「古賀史健『集団浅慮』から読み解く組織の病理」 |
| 日時 | 2026年2月21日 7:00~8:00 |
| ファシリテーター/レポーター | 盛田(準会員) |
| 記事作成 | 李(正会員/共同代表) |
2.レポートの概要
本勉強会では、フジテレビのアナウンサーをめぐるハラスメント問題を扱った書籍『集団浅慮』を題材に、ファシリテーターの盛田さんが本の概要を解説した後、3グループに分かれてグループディスカッションを行いました。
盛田さんは冒頭で、「あれだけ高学歴な人たちが集まった組織でも、こういうことをやってしまう」という点に着目したと語り、組織が集団になると浅はかな思考に陥る「集団浅慮」の要因として、「同一性の罠(似た価値観の者だけで固まることで批判的視点が失われる)」「空気の支配(正論よりもその場の雰囲気や忖度が意思決定を左右する)」「無謬性の幻想(根拠なく自分たちは正しいという過信が外部を遮断する)」の三点を解説しました。
グループディスカッションは二つのテーマで実施されました。第一のテーマ「なぜ周りは黙認するか」では、実際に顧客先で対価型セクハラの相談を受けた経験の共有や、「声を上げていいと伝えるための研修の必要性」「管理職が否定したら若い人の声も届かない」といった意見が出ました。第二のテーマ「沈黙する職場への専門家としての提案」では、まず事実確認のためのヒアリングを行う、当事者以外も相談できる窓口を周知する、専門家がオブザーバーとして会議に同席するといった提案が各グループから出され、全体を通じて「やはりトップが方針を示すことが重要」という点で参加者の意見が一致しました。
3.参加者の発言より
黙認・傍観が起きる背景
- 「なぜ周りのスタッフは笑って流しているか」については、感覚が麻痺しているか、相手が嫌がっているのに気づいていないか、あるいは軽く考えているということではないか。
- セクハラの問題がお客さんから上がってこない背景には、50代以上の世代が「それが普通」と思っている場合がある。若い人が入ってきた時に初めて問題になることがあり得る。
- 自分が働いていた時代は、お尻を触られても「いやー」と言って流すのが普通だった。この本を読みながら反省した。
研修の進め方・対象
- 実際にお客さんのところで対価型セクハラの相談があり、同僚全員が気づいていながら上司に報告していなかったケースがあった。その際、緊急でセクハラ研修を実施した。まず「言っていいんだ」と伝えることが重要だと感じた。
- 研修の意味合いとして、加害者になりそうな人に釘を刺すことも大事だが、周りの見ている人に「上司に相談していい、窓口に直接相談してもいい」ということを強調したい。
- 研修は管理職からやるべきで、大勢を前に一時間喋るよりも、20人程度の少人数でグループワークをやってもらった方が変わる実感がある。。
専門家としての関わり方
- お客さんからこうした相談を受けたら、まず「一回同席させていただいていいですか」と提案し、特定の人だけが標的になっているのかなど、会議の実態をオブザーブしてから判断したい。
- 社労士はトップダウンでの働きかけがやりやすい立場にある。小さい会社では社長が直接応対してくれることも多く、社長の考え方をサポートするのは社労士として取り組みやすい部分だ。
職場の風土と組織的な課題
- 町内会の場で、誰かが「セクハラ」という言葉を使わずに「そんなの今流行らないよ」とさらりと言って場の空気を変えた。専門家でなくても言える言葉があり、言い方を工夫することで雰囲気を変えられる。
- キャリアコンサルタントとして中小企業の面談をした経験から、「誰に言っても無駄」という空気が漂っている職場では、職場への希望がないと、変えようという下からの動きも生まれない。
- 事業にとって必要な人物がハラスメントをしているケースでは、辞めさせるところまでもっていくのが難しく、なかなか手を打ちにくいという現実的な難しさがある。

