第12回 正準会員勉強会「コミュニケーションスキルアップについて」

1.概要
日時 | 2024年10月21日 15:00~ 約1時間 |
テーマ | 「コミュニケーションスキルアップについて」 |
参加人数 | 6名 |
ファシリテーター/レポーター | 五百川(正会員) |
記事作成 | 李(正会員/共同代表) |
2.レポートの主な内容

レポーターは、厚生労働省委託事業である建設労働者雇用支援事業のセミナー経験を活かし、職場におけるコミュニケーションの重要性と実践的なスキルについて解説しました。
コミュニケーションを阻む12の落とし穴
アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン氏が提唱した「親業」の理論をもとに、職場でのコミュニケーションを阻害する12の要因について学びました。
- 命令・指示
- 脅迫
- 一方的な提案
- 論理的な説得
- 説教
- 批判・非難
- 上からの同意
- 侮辱
- 解釈
- 元気づけ
- 一方的な質問
- 話題を変える
これらは、一見相手のためを思って行う行動でも、実際にはコミュニケーションを妨げる可能性があります。
効果的なコミュニケーションの4つの要素
- 4つのプロセス
- 関わる
- 焦点化する
- 引き出す
- 計画する
- 4つの基本スキル
- 開かれた質問
- 是認
- 聞き返し
- 要約
- 4つの精神
- 協働
- 受容
- 思いやり
- 喚起
ケーススタディ
製造業での居眠りによる軽微な労災を題材に、上司の不適切な叱責と、望ましい指導方法について具体的に検討しました。単なる叱責ではなく、相手の状況を理解し、共に解決策を考えるアプローチの重要性が示されました。
参加者の体験談
その後、参加者からコミュニケーションについての体験談が次のように寄せられました。
身近な相手とのコミュニケーション
身近な人の話し方がまさに「12の落とし穴」にあてはまっていることに気づきました。
正論を述べるのですが、聞いていると反発したくなってきます。
そこで私は、話す時に「なぜそうしようと思ったの?」と問いかけることにしたところ、相手が自分で考え、解決策を見出せるようになってきました。
指示するのではなく、相手の考えを引き出すことで、コミュニケーションが大きく変わることを実感しています。
ビジネスでの気づき
取引先からの謝罪電話を受けた際の失敗経験があります。
初歩的なミスへの不満が私の言葉に表れてしまい、結果として事態を複雑にしてしまいました。
謝罪を受け入れるつもりでいたのに、感情をうまくコントロールできなかったのです。
この経験から、感情を管理することの重要性に気づきました。
専門家同士の課題
複数の専門家でコンサルティングチームを組んだ際、謝罪と対応策の優先順位について意見が分かれました。
業界背景が異なると、同じ状況でも求める対応が違ってくることを実感しました。
私たちはコミュニケーションの専門家同士でしたが、互いの立場や背景を理解し合うには、より丁寧な対話が必要だと気づかされました。
3. 参加者の感想

さきほどは、意図せず身近な人をけなすようなことを言ってしまいましたが、その人の行動は、相手を良くしてあげたい、助けてあげたいという優しい気持ちから出たものです。
ただ、伝える方法は工夫できるところがあるので、その点を自然に言ってみようと思いました。

普段何気なく行っているコミュニケーションの中で、相手を元気づけたり話題を変えたりすることは良いことだと思っていました。
しかし今回の研修を通じて、それが自分本位になっていた可能性に気づき、自分のコミュニケーションの傾向を見直してみたいと思います。

職場では、私のような年代の社員と若い世代との間で、同じ言葉でも受け取り方が全く異なることがあります。
今回の研修で、それぞれがどのように感じ、考えているのかを共有できたことは、とても貴重な機会でした。

コミュニケーションの問題は、言葉のやり取りだけでなく、なぜそのような発言をするのか、その背景まで考える必要があると気づきました。
管理職だからとか、相手が悪いということではなく、お互いの立場や考えを理解し合うことが大切だと実感しています。

私がよく接する建設業や製造業の管理職は、基本的に良い人柄の方々なのですが、すぐに怒鳴ってしまうことがあります。
それは方法論を知らないだけなのだと気づきました。
今後は、より良いコミュニケーション方法を具体的に提案していきたいと思います。
4. ファシリテーターからのふりかえり
今回の研修を通じて、私自身が多くを学ばせていただきました。
特に印象的だったのは、アイスブレイクでの参加者同士のフィードバックの質の高さです。
きょうの研修を通じて、コミュニケーションは仲良し同士でするというより、たとえば会社であれば、仕事の遂行を目的として意思の疎通を図ることがとても大切だと痛感しました。
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