組織カルチャーからハラスメントを防止する

 本稿では一冊の書籍をご紹介しつつ、組織カルチャーとハラスメントついて考えてみたいと思います。

 ご紹介する書籍は唐澤俊輔氏著『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方 』です。本書では、著者の唐澤俊輔氏がマクドナルドやメルカリ、SHOWROOMで組織変革や人事・組織の責任者等を務めてきた経験から、いかにして組織文化や企業風土(書籍ではこれらを総評して「カルチャー」と表現しています)を言語化し、可視化し、それを社内外に浸透させるのかを、独自のフレームワークを用いながら順序立てて解説してくれています。

カルチャーとは何か?

 組織カルチャーとは、上述したように組織文化や企業風土のことと言えますが、私の解釈でもう少し砕けた言い方で表現すると「らしさ」とも言えるでしょうか。

 例えば自社について「うちの会社は●●系だよね」とか「△△な雰囲気がうちの会社っぽい」などと表現することがあるのではないでしょうか。また、ある企業が創り出す製品やサービスを「〇〇らしい」とか「〇〇らしくない」と表現したことがある人もいることでしょう。そして、そうした「らしさ」によって会社の意思決定がされる場面も体験したことがあるのではないでしょうか。

カルチャーを作る

 書籍ではこうしたカルチャーには、自然に醸成されたカルチャーと意図的に設計されたカルチャーがあると言います。

 自然に醸成されたカルチャーとは、創業以来、経営者や歴代の社員が企業活動を行い、脈々と受け継がれてきたものが自然と独自のカルチャーとして醸成される場合であり、意図的に設計されたカルチャーとは、企業が明確な意思や方向性を持って、ある種意図的にカルチャーをつくりだす場合とのことです。

 そして、意図的にカルチャーを醸成することで組織や社員に良い影響を与え、更には顧客にも影響を与えることで事業がうまく回りだすと唱えつつ、その具体的な方法について一冊を通して具体的に教えてくれています。

カルチャーからハラスメントを防止する

 さて、組織や事業を好転させるカルチャーを意図的に醸成することが可能であるならば、当然ハラスメントが生じ得ないカルチャーを作り出すことも可能でしょう。「うちの会社はフラットだ」「うちの会社は常にチームで走り、助け合う」「うちの会社は認め合う」などなど、ハラスメントをあらかじめ防止するようなカルチャーをしっかりと言語化し、浸透することが出来れば、そもそもハラスメントの問題など起こらないと考えます。研修すら不要となるでしょう。

 具体的なカルチャーの作り方は書籍にて学んでいただくとして、ハラスメント防止のアプローチ方法の一つとして参考にしていただければと思います。

著者:SRCパートナーコンサルタント 朴 東浩

社会保険労務士
産業カウンセラー
ハラスメント防止コンサルタント

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