第24回正準会員勉強会「フキハラ(不機嫌ハラスメント)研修

1.概要
| テーマ | フキハラ(不機嫌ハラスメント) |
| 日時 | 2026年10月23日 16:00~17:00 |
| レポーター | 松原(準会員) |
| 記事作成 | 李(正会員/共同代表) |
2.内容
今回の勉強会では、「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」をテーマに、レポーターの松原さん(準会員)の発表をもとに、定義と発生の仕組み、事例検討、組織・個人の対処法と予防策を検討しました。冒頭のチェックインでは、参加者それぞれが最近の相談事例を持ち寄りました。
フキハラとは、自分の不機嫌な態度や行動によって周囲にストレスや圧迫感を与える行為を指します。暴言のような明確な言葉がなくても相手の心理的負担になるのが特徴で、モラルハラスメントの一種とされ、意図的な場合と無意識の場合の両方があります。
フキハラは、相手への敬意や配慮を欠いた失礼で無作法な言動である「インシビリティ(礼節の欠如)」として捉えることもできます。不機嫌な態度が職場に緊張と遠慮を生み、報告・連絡・相談の躊躇や遅れを招き、ミスの発覚遅延、心理的安全性の低下、生産性の悪化へつながる悪循環が確認されました。さらに離職と人手不足が不機嫌を助長する面もあり、安全配慮や訴訟のリスクも無視できません。
発生の要因としては、感情コントロールの不足(キャパオーバーや疲れによる余裕の欠如)、無意識の甘えや「察してほしい」という心理(言葉で伝えず態度で察してもらおうとする依存や、相手をコントロールしたい気持ち)、客観性の欠如(自分の不機嫌が他人に与える影響への無自覚)の3つが整理されました。
続いて、「不機嫌な上司への報告」を題材に事例検討を行いました。
参加者の発言より
フキハラは誰にでも起こりうる身近な問題
不機嫌になること自体は誰にでもある。だからこそ、周りに与える影響の大きさを自覚してもらう取っかかりとして身近に感じてもらえるテーマであり、顧客への説明にも使いやすいと感じた。
「たかがフキハラ」と捉えることの危険
「フキハラ」という言葉があると、パワハラに至らない軽いものと受け取る人もいる。しかし事例検討のようにパワハラに該当しうるものもあり、つらいと感じている従業員がいる以上、言葉の軽さに引きずられず対応する必要がある。
回数と継続性も判断の要素になる
パワハラの判断ではさまざまな要素を総合的に考慮するが、その中には行為の回数や継続性も含まれる。忙しいときだけ月1回なのか、ほぼ毎日なのかで意味が変わる。パワハラに該当しない段階でも、不適切な状況が続くままではエスカレートするため、早い段階で指導し、環境を整えることが必要だと改めて考えた。
最近のパワハラ相談の実態
最近のパワハラ相談では、ひどい暴言はほとんどない。きつい一言と不機嫌な態度の組み合わせで、言われた側のダメージは非常に大きいというパターンが多い。中小企業では管理職への教育が行われていないことがほとんどで、こうした言動は管理職としての適格性の問題でもある。リーダーシップを含めた管理職研修の提案も、社労士にできることだと感じた。
性格ではなく行動を指導する
「ああいう性格だから仕方がない」と言われがちだが、性格を変える必要はない。問題は行動であり、どの行動が周囲にどう影響しているかを整理して指導していくことが会社の役割になる。
まず記録を残し、相談する
言い返せない立場では、我慢を重ねて業務に支障が出る前に、相談窓口や信頼できる上位者に相談することが大切だ。その際、具体的に何を言われ、どのくらいの頻度だったのかを整理し、証拠となる記録を残しておくことが対応の出発点になる。

