パワハラ防止に効果的な取組みは、職場での「決めつけ」と「思い込み」を解消すること
パワハラ防止のための指針(厚生労働省告示第5号 令和2年1月15日)では、事業主に対し、パワハラの原因や背景となる要因を解消するために、コミュニケーションの活性化や円滑化のために研修等の必要な取組を行うことが求められています。
コミュケーションの活性化や円滑化のための研修は様々ですが、ここではハラスメント行為につながる「決めつけ」と「思い込み」の解消に効果的なアンコンシャス・バイアス研修をご紹介します。
周囲からの被害行為の認識と当人による加害行為の認識には、ギャップがある
「職場のハラスメント」に関する調査結果(出所:一般財団法人労務行政研究所×筑波大学 働く人への心理支援開発研究センター)によると、周囲でハラスメントがあったと認識した被害行為は31.9%でしたが、ハラスメントを行ったことがあると加害者当人が認識しているのは22.2%で、周囲と加害者の認識にはギャップが生じていました。
この結果から、加害者当人は、ハラスメントを行っていることについて自覚しておらず、周囲の状況も見えていないと考えられます。
加害者面談をしている際も「相手のためを思ってやったのに」「そんなつもりじゃなかった。」と答える方が少なくありません。
ギャップの正体は「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」
周囲の人と加害者との認識にギャップが生じているのは、それぞれの解釈が違うからです。解釈の違いは、それぞれが「無意識のうちに偏ったものの見方をしてしまっていること」が原因です。これをアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)といいます。
アンコンシャス・バイアスは、「決めつけ」と「押しつけ」の2つの言動にあらわれやすいと守屋氏(一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事)は指摘しています。
アンコンシャス・バイアスは、育ってきた環境や経験から「無意識」に生じるもので、自分ではなかなか気づきにくいのです。
アンコンシャス・バイアスは誰にでもあり、それ自体が問題ではありませんが、優越的な関係で「決めつけ」「押しつけ」をされると、周囲との関係性に大きな影響を及ぼします。
「そんなつもりじゃなかった」を解消するアンコンシャス・バイアス研修
優越的な立場の人が、自身のアンコンシャス・バイアスにきづかずにいると職場のメンバーのモチベ―ションを下げてしまう等の弊害がでてきます。そのまま放置され続けるとモチベーション低下だけでなく、優秀な人材が流出し、組織のパフォーマンスも下がり、企業全体の成長を止めてしまうことにつながりかねません。
ハラスメント行為につながる「決めつけ」「押しつけ」を解消するためにアンコンシャス・バイアス研修を実施しましょう。
パワハラ防止指針に沿った「ハラスメント×アンコンシャス・バイアス研修プログラム」
SRCハラスメント防止センターでは、パワハラ防止のための指針に沿って、パワハラの原因や背景となる要因の解消に向けての専門的支援を行っています。
ハラスメントへの正しい理解とアンコンシャス・バイアスにきづく研修は、一人ひとりの意識と行動変容を促し、職場環境改善に役立ちます。ハラスメント研修はSRCハラスメント防止センターにご相談ください。
なお、2022年8月3日(水)15:00~17:00「リピートにつなげるためのハラスメント防止研修の設計、提案方法と一般向けモデル研修」では、前半で、職場環境改善のアプローチを考え、後半で下記のプログラムを行います。アンコンシャス・バイアス研修に興味がある方、ご参加お待ちしております。
(参考)
『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』 守屋智敬著 かんき出版
『「職場のハラスメント」に関する調査結果』 一般財団法人労務行政研究所×筑波大学 働く人への心理支援開発研究センター
このコラムは、2022年7月20日配信のメルマガに掲載されたものです。
著者:SRCハラスメント防止コンサルタント 沼田博子
大阪府出身。関西大学大学院商学研究科卒
流通業、人材派遣業を経て社会保険労務士として開業
1996年 社会保険労務士事務所 開業
2001年 有限会社マンパワーマネジメントシステムズ設立 取締役就任
2015年 一般社団法人SRストレスチェック支援センター
(現、未来のワークデザイン研究所)設立 代表理事 就任
2016年~2020年 関西大学会計専門職大学院 非常勤講師
2017年 社会保険労務士法人ハーネスに組織改編 代表就任
保有資格
特定社会保険労務士、シニア産業カウンセラー、ハラスメント防止コンサルタント、キャリアコンサルタント、アンガ―マネジメントファシリテーター、
アンコンシャスバイアス認定トレーナー、プロティアン認定ファシリテーター
衛生工学衛生管理者、公認不正検査士、リフレクションカード・トレーニングプロ
主な業務内容
・労務相談
・心と身体の健康管理(メンタルヘルス・ハラスメント対応含む)
・多様な働き方制度設計(週休3日制、短時間正社員、テレワーク、再雇用制度)
・両立支援(育児・介護・疾病等)のための人事制度構築
・賃金・人事評価制度見直し(ジョブ型、同一労働同一賃金対応)
・高齢者活用(キャリアデザイン研修)