ストレスチェックを活かした職場環境改善

労働災害防止計画とメンタルヘルス対策

「労働災害防止計画」は、労働災害の減少を目指し、国が重点的に取り組むべき事項を定めた中期計画です。現行の第14次計画では、2023年4月から2028年3月までの5年間において、8つの重点対策が掲げられ、その中で「労働者の健康確保対策の推進」として、メンタルヘルス対策、過重労働対策、産業保健活動の推進が挙げられました。本コラムでは、メンタルヘルス対策の一環としてのストレスチェックを用いた職場環境改善に焦点を当てます。

重点7 労働者の健康確保対策の推進

(1)メンタルヘルス対策

・ストレスチェックの実施にとどまらず、ストレスチェックの結果をもとに集団分析を行い、職場環境の改善を実施。

・職場のハラスメント防止対策に取り組む。

(第14次労働災害防止計画、8つの重点対策より抜粋)

ストレスチェック制度の目的と義務

精神障害が労災認定の増加に寄与している現状を鑑み、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的に、2015年12月にストレスチェック制度が施行されました。常時50人以上の労働者を使用する事業場に年1回の実施が義務付けられています。常時50人未満の事業場は義務対象外ですが、令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、30~49人で61.7%、10~29人で53.5%の事業場でストレスチェックが実施されています。

ストレスチェック制度の導入は、労働者が自身のストレス状態に気付くこと、高ストレス状態にある労働者に医師の面接指導を提供すること(本人の希望に基づく)、職場環境改善につなげて働きやすい職場づくりを進めることを主要な目的としています。この目的を達成するための手段として、努力義務とされているのが集団分析です。

集団分析でデータを活かした より良い職場づくり

集団分析は、労働者のストレスデータを集計し、組織の課題を明らかにすることで、根本的な職場環境の改善につなげることを目指しています。集団分析により可視化された問題点を基に、具体的な改善策を策定し、より良い職場作りに励むことが期待されているのです。

集団分析では、ストレスチェックの結果を部署ごとに集計し、平均値を出すことで、個人を特定せずに集団の特性を数値化します。集団分析により可視化された問題点を基に、具体的な改善策を策定し、より良い職場作りに活用することが期待されています。ただし、集団の人数が少ない場合は個人の特定に繋がる可能性があるため、通常は10人以上を一集団とするのが適切とされています。

集団分析結果からは、職場のストレス状態や健康リスクを部署単位や職種ごとにみることができ、経年で数値の変化をみることが可能になります。また、高ストレスの職場ではサポート体制や教育研修の不足が指摘されることがありますが、逆にプラスの側面も見えてくることがあります。例えば、仕事のやりがいや会社の理念への共感、良好な人間関係などです。

職場環境の改善は、集団分析結果を基に状況を分析し、対策を講じることで進められます。取り組みには、経営層主導型と従業員参加型があります。従業員参加型のメリットとして、職場のチームワークが良くなる、低コストで実施できるなどが挙げられます。

 「みんなで取り組む いきいき職場づくり」では、従業員参加型のツール紹介、お役立ち情報をわかりやすく紹介されています。よりよい職場づくりの参考にご覧いただきたいサイトです。

参考リンク:みんなで取り組む いきいき職場づくり

https://ikiikisyokuba.jp/index.html

著者:SRCパートナーコンサルタント 上野 雅子

詳しいプロフィール

略歴

山口県出身。
2022年 新宿区semina社会保険労務士事務所開業。
同年 産業カウンセラー登録。健康経営エキスパートアドバイザー認定。

保有資格
  • 社会保険労務士
  • 産業カウンセラー
  • 健康経営エキスパートアドバイザー
  • 第2種衛生管理者

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