ハラスメント相談担当者が陥りやすいアンコンシャス・バイアスとは

社内のハラスメント相談担当者は、なかなか研修を受ける機会もなく、自己流で対応しなければならない場合がほとんどです。

そうなると、「自分の相談の受け方はこれでいいのだろうか」と迷いや悩みを抱えることになってしまいますね。

今回は、相談担当者がこんな無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を持っていると、うまくいかないという4つのパターンご紹介しましょう。

1.わたしは中立な立場だ

会社側や行為者側に立つのではなく、相談に来た人に味方するのでもなく、中立な立場で話が聞きたい。
このように考えて対応しようとしていませんか?

中立な立場のなにが悪いのだ、と思われるかもしれません。

しかし現実には、相談担当者は明らかに会社側の立場です。
少なくとも、相談に来た人からはそう見えています。
自分だけが中立のつもりでも、それは通じず、「会社の立場に立って話している」と相手に思われていることをきちんと認識すべきです。

また、中立というと聞こえはよいのですが、実際には、当事者よりも一段高いところから「だれが悪いのか自分が判断してやろう」という、裁判官のような心情になってしまうこともよくあります。

相談に来た人からすると、自分を裁こうとしている人を信頼して話すことは難しくなってしまいます。

中立でなければどうしたらよいのか、ということですが、目の前にいる相談に来た人の心情に共感しながら、話を聞けばよいのです。

2.相談に来た人の側に偏ってしまう

相談に来た人の力になりたいという気持ちも、相談担当者の多くが感じていることです。

しかし、行為者のやっていることはひどい、という気持ちが強すぎると、適切に相談を受けられないこともあります。

相談担当者が相談に来た人と年齢やキャリア、組織内での立場が似ていたり、相談担当者も過去にハラスメントを受けた経験があったりすると、起こりがちな状況です。

相談に来た人よりも、相談を受ける側が感情的になってしまうと、相談者は気分的にしらけてしまい、せっかく相談したのにモヤモヤした気分が残ります。

さらに、行為者を罰したいという気持ちから、報告するときに、無意識に話を行為者に不利な方向にふくらませてしまうということも考えられます。

相談に来た人に共感することは大切なのですが、自分に引き寄せるあまり、相談者を利用して自分の怒りを晴らそうとしていないか、省みることも必要です。

3.行為者の側に偏ってしまう

相談者の側に偏ってしまうよりも、こちらのほうが起こりがちかもしれません。

社内の相談担当者は、人事課長等の役職の方が多く担っています。
ある程度キャリアもあり、年齢も中高年層であることが多いのです。
そうすると、社内的に行為者と似た立場であったり、行為者のことを同僚としてよく知っていたりします。

「あの人がそんなことをするわけがない」という気持ちから、相談しに来た人の話をきちんと受け止められないことにつながります。

また、「あなたにも悪いところがあるんじゃないですか?」等、不適切なことを言ってしまう可能性も高くなります。

さらに、心情的にはとくに行為者にシンパシーを感じていなくても、行為者が懲戒や配置転換されると業務上困る、という考えから、相談者の訴えを過小評価してしまうこともありえます。

4.問題を大きくしたくない

ハラスメント相談担当者は、通常、ほかにたくさんの仕事を抱えています。
そんな中で、ハラスメントの相談を受け、その後調査が始まると、大きな負担になることが最初から見えています。

できるだけことを大きくしたくない、また、あまり波風を立てるとその後気まずくなる、という気持ちが強すぎると、「この程度で騒ぎ立てないほうがあなたのためですよ」等といって、相談者の訴えを抑圧してしまうことになります。

「この忙しいのに迷惑だ」という気持ちを持つことはとめられませんが、それが顔に出ていないか、相談者に対して必要以上に冷たく扱っていないか、点検してみる必要があります。

社内相談担当者は、上のような心理に陥っていないか考えてみて、上に挙げた4つのアンコンシャス・バイアスの中で自分に近いものがあると気づいたら、そのバイアスにひっぱられすぎないように意識しましょう。

また、ハラスメント対処の経験があり、人の話を聴く訓練を受けている外部の相談窓口を依頼するというのも、ひとつの方法です。

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