ハラスメント相談と傾聴

ハラスメントやメンタルヘルスという言葉が良く使われるようになったからか、『傾聴』という言葉もよく耳にするようになったと感じます。そこで今回は傾聴についてお伝えします。

傾聴は、単に声や音を受動的に「聞く」こととも、相手が語りたくないことを問いただすように「訊く」こととも違います。「聴」の字が表すように、耳だけでなく目と心を相手に「傾け」て「聴く」のが傾聴です。

つまり、誠心誠意、集中して相手の語りや表現を聴くことを意味します。そのようなことからカウンセリングの世界では、傾聴とは受動的な行為でなく、相手に積極的に関わろうとする能動的行為であり、『積極的傾聴』とも言われています。

これは何もカウンセリングの世界に限ったことでなく、ハラスメント現場における相談窓口での対応や、被害者や加害者に対するヒアリングでも同じ姿勢が求められると言えるでしょう。

ハラスメントの相談に来る方々の多くは、少なからず不安や恐れ、又は怒りなどの感情を持っています。こうした時、事実の確認は勿論大事ではありますが、その人が問題についてどのように受け止め、感じ、悩み、苦しみ、今後何をどのようにしていきたいと思っているのか、といった相談者自身も十分に整理がついていないような側面までじっくり耳を傾ける必要があります。

難しく感じるかもしれませんが、最も簡単な言葉で表現するならば、相手を理解しようと聴くことと言えるでしょう。相手の視点に立ち、相手の目で物事を眺め、相手の見ている世界を見ることで共感を示すのです。これが『共感的傾聴』と呼ばれるものです。

相談者の話を遮ったり、否定したり、逆にこちらの「正論」を述べ出すようなことはカウンセリングにおいても、ハラスメントの相談においてもご法度です。

『傾聴』はスキルであり、練習により身に付けることが可能です。一方で、目の前にいる人を理解したいという思いが無ければその練習も無意味なものになるでしょう。

「あなたを理解したい。」ハラスメントの相談担当者となったときには、まずはこの姿勢から求められるものと考えます。

著者:SRCパートナーコンサルタント 朴 東浩

社会保険労務士
産業カウンセラー
ハラスメント防止コンサルタント

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